300人以上の子供が通う神奈川県川崎市にある認可外幼稚園が、3月26日突然の閉園を発表しました。
この幼稚園は卒園式を26日に終えたばかりで、同日の夕方、保護者に対し「認可幼稚園無償化などの影響を受け、本年4月以降の事業継続ができない状況となりました。」という一斉メールが送られました。
また、27日には保護者説明会を本日29日に実施する内容の封書が届き、今月内に破産手続き申し立てが行うことも明記されていました。
A.L.C.貝塚幼稚園
突然の閉園を発表したのが、川崎市にある認可外「A.L.C.貝塚幼稚園」です。
ホームページによると、
子供の能力を育て、健康でバランスのとれた国際人を育てようと、専門知識と情熱を持った先生方が結集し、英語・英会話・体操・水泳・絵画・音楽・基礎知識を指導し、どのお子様も伸びております。特に英語に力を入れており、年長で沢山の方が英検に合格しております。
という表記があります。
英検と言うと、一番初級の英検5級でも、中学1年生レベルの英語力が必要となりますし、幼稚園生対象としてはかなりハイレベルな英語教育が施されていたことが読み取れます。特に英語学習に力を入れている幼稚園のようです。
他には、幼児向けに体操・水泳・バレエ・英会話などを教えるキッズスクール「A.L.C.アルファウイング」を関係会社と共に展開するなど、子供の習い事関連の分野にも力を入れていた模様です。
閉園の理由は?
そんな幼児英語教育の知名度も高いA.L.C.貝塚幼稚園の閉園の理由ですが、少子化や幼保無償化の影響が閉園の理由だと説明しています。
幼保無償化とは、幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が今年10月から無償になる制度です。
しかし、認可外のA.L.C.貝塚幼稚園は無償にはならないため入園する園児が減少したといいます。
また、過年度の不動産売却損などから、以前より脆弱な財務内容を余儀なくされ、債務超過状態が続いていました。
閉園発表から一転事業継続への詳細
そんな中、一度は閉園を発表したA.L.C.貝塚幼稚園ですが、事業継続へ方向転換。
「地元企業様のご協力により、引き続き、幼稚園事業を継続できる方向の模索に舵を切れる状況が見えてまいりました」などと説明しているようで、支援会社の株式会社サン(プレスリリース)は経営支援を発表したことを明らかにしています。
今後は、別企業に事業を譲渡して幼稚園の継続を目指すといいます。
A.L.C.貝塚幼稚園の以前のずさんな会計・経営管理
・今までは、料金表のようなものがそもそもあるのかないのか分からない状態だった
・人によって値段も違っている
・費用がどうつながっているかが分かりづらい、ということが非常に多くあった
・園児が300人に対し、事務員は7人ほど⇨しかしパソコンが1台だけ
⇒そのためほとんどが手書きで処理するなどアナログ感が非常に強い園だった
支援会社の社長が自ら園長へ
以前の経営者(メディアなどでは名前が伏せられ、Sさんと言われています。)に代わり、支援会社の株式会社サンの代表の方が園長になることで今後も経営を続けていく模様です。
支援会社に事業を譲渡してからの現状
・転園した園児への入園金は返済されるそうです
・300人の園児のうち、200人以上の園児がA.L.C.貝塚幼稚園へ戻るそうです
・担任やバスの運転手を務める正職員14名のうち、12名の復帰が決定
・教育方針は認可幼稚園では実現できない自由度の高い独自のカリキュラムが売りなので、方針も変えず、基本的に認可の方針はしない方向
・前経営者は今後一切A.L.C.貝塚幼稚園の経営には関係しない方向
債権について
A.L.C.貝塚幼稚園では以前、「債権」という形でもお金を集めており、約1億3000万円の債権の返済が必要だという現状です。
支援会社の説明によると、支援金3億円のうち5000万円で債権を補填していくと言います。
詳細⇩
①継続在園する園児の保護者へは基本全額返済
ただし、5000万円を超えた場合⇒個人からの寄付の形になったとしても不足分を追加補填する予定
②転園・卒園した園児保護者へは在園時への返済後の金額を分配する。全額返済できない可能性もある。
⇒・あくまで支援会社からの気持ちであり、経営改善を考えると5000万円が限界と判断
・納得できない場合はA.L.C.側への直接交渉をお願いする
まとめ
当然の「閉園発表」から一転、事業継続を明らかにしたA.L.C.貝塚幼稚園。
しかし、園児たちの保護者は不安や怒りの色を隠せないようです。
それもそのはず、中には教材費、設備費、制服代金、債券も含めトータル40万円をかけて入園の準備をし、子供本人も幼稚園生活を楽しみにしていたという保護者もいます。
4月ももうすぐ、不安は拭いきれないですが、子供たちには1度きりの幼稚園生活を思い切り謳歌してもらいたいですね。