令和の時代を迎え、専業主婦の年金受給について年金半額案も検討される議論が始まっているようです。
現在、夫の厚生年金に加入し年金保険料を支払わずに基礎年金をもらうことのできる「第3号被保険者」の妻は約870万人いるとされています。
しかし、共稼ぎの奥さんや働く独身女性からは「保険料を負担せずに年金受給は不公平」の声が根強く上がっているようです。
無職の専業主婦の年金受給はずるい?
世の中には、結婚や出産を機会に働き方を変える女性が沢山います。
産休を取って復帰する人、そのまま専業主婦として育児や家事に精を出す人…
そして最近は夫婦そろって働き、好きなことをしたり、旅行に行って自由なライフスタイルを送る人など夫婦の形態も様々です。
そんな中政府は、共稼ぎの奥さんや働く独身女性からは「保険料を負担せずに年金受給は不公平」の声が根強く上がっているということから、
男女共同参画基本計画で「第3号被保険者」を縮小していくことを閣議決定し、国策として妻たちからなんとかして保険料を徴収する作戦を進めているようです。
厚生年金の加入要件を広げることで仕事を持つパート妻をどんどん加入させるのはその一環で、3年前の年金法改正で厚生年金の適用要件が大幅に緩和され、わずか1年で約37万人が新たに加入しているといいます。
兼業主婦と専業主婦の年金受給額の差とは?
それでは、兼業主婦と専業主婦はそれぞれどれくらい受け取れる年金受給額の差があるのでしょうか?
夫が会社員、妻が専業主婦の場合
主婦で夫の扶養に入っている場合、年金保険料の負担がありません。
20歳から60歳になるまでずっと夫の扶養に入っていて、問題なく保険料の納付を行っていると国民年金の満額で月々約65000円(年間約78万円)の年金をもらうことができます。
夫が平均的収入額が42.8万円(賞与込み)で40年就業し、妻も同期間専業主婦だった場合の夫婦の合計月額年金額は、約22万円です。
専業主婦は育児や家事に専念できるというメリットがありますが、老後にもらえる金額が少なく、夫の収入に左右されるという不安要素があります。
夫婦で共働きの場合
厚生年金にお互いが加入していた場合、男性の平均年金額は約16万円(約40年厚生年金加入、賞与を含む)、女性の場合は約10万円となっています。
男性が年収480万円、女性が年収300万円ほど稼いでいる場合の夫婦の合計月額年金額は26万円です。
専業主婦世帯と比較すると、一か月分の差は4万円でも、年間で考えると48万円もの差が出る結果となります。
共働きの場合は仕事をしながら育児・家事をするのは大変ですが、働くことで社会との関りを持つことが出来、老後もらえる年金が多いというメリットもあります。
「無職の専業主婦」の年金半額案に世間の声は?
Twitterなどでは、この年金半額案よりも「無職の専業主婦」という表現の仕方が差別的だと、沢山の反論の声が上がっています。
専業主婦ですが無職と呼ばれるのは心外です。無給なだけで24時間365日ずっと労働してます。将来の納税者を産み育てているのです。国から給料貰いたいくらいです。
— satopion (@tomcarino) May 5, 2019
祖父母世代には「保育園入れてかわいそう」と責められ
会社には常に罪悪感を抱き
小学校からも「もう少し一緒の時間を〜早く寝かせて〜」と言われ
その結果専業主婦になれば、国からは無職といわれるのか— 育児は大変 (@ikujihataihen) May 5, 2019
就業女性と専業主婦の対立構図が勝手に作られようとしているので一応言いますが、就業していようと家事に専念しようと義務を果たしている人に年金が平等に払われる環境を作るのが国の責務であり、専業主婦を無職と言い切る浅はかな知性に大きな問題があると就業している私は思います。
— 円山🌒ツネ/再販終了 (@chai_chanko) May 5, 2019
毎日の家事・育児の大変さを経験した人でないと、その気持ちを根本から100%理解するのは難しいのかもしれません。
ですが、毎日の家事・特に子供が小さいうちの育児はかなり大変で、それを「無職」と呼ぶのは乱暴な印象を受けます。
まとめ
現状政府の方針では、第3号を廃止して妻に国民年金保険料を払ってもらう案、妻には基礎年金を半額だけ支給する案、夫の厚生年金保険料に妻の保険料を加算して徴収する案などが上がっています。
改案がされるにしろ、されないにしろ、政府には人を傷つけ不快にさせない「表現の仕方」をもう少し考慮してほしいものです。
兼業主婦と専業主婦それぞれにメリットやデメリットがありますので、夫婦で理想とする人生像をしっかり話し合い、それに近づけるような道を選択できるようにしていくことが大切かと思います。